
1. 導入:プロ検ビジュアル編レベル1とは? 合格で身につく力
この記事は、プログラミング能力検定(プロ検)のビジュアル言語編・レベル1を、できるだけ短い時間で合格ラインに乗せたい小中学生とその保護者向けに書きました。出題は主にScratch(スクラッチ)の画面を見ながら進みます。用語はすべて噛み砕き、間違えやすいポイントもあわせて載せています。
試験の最新の形式・範囲・料金は、必ず公式サイト(【公式】プログラミング能力検定(プロ検))と配布されるサンプル問題で確認してください。本稿は学習の地図として使い、細部は公式資料を正とします。
プロ検ビジュアル編レベル1で測られること
プログラミング能力検定(プロ検)は、プログラムの考え方を「パーツ」に分けて理解できているかを測る検定です。ビジュアル言語編は、文字のプログラムではなく、ブロックを組み合わせるタイプ(Scratch)で思考力を問われます。
レベル1は入門レベルですが、「とりあえずブロックを並べたことがある」だけでは足りない場面が出ます。ここで問われるのは次のような力です。
- 順番を読む力(コンピューターは書いた順にしか動かない)
- 条件を言葉にする力(もし〜なら、そうでなければ)
- 繰り返しの型を選ぶ力(何回、いつまで、ずっと)
- 数や名前を「箱」に入れて扱う力(変数)
日常生活でいえば、料理のレシピです。材料を順に切る(順次)、味を見て塩を足すか足さないか決める(条件分岐)、かき混ぜる動きを10回繰り返す(繰り返し)、「塩の量メモ」に3と書いておいて後で足す(変数)。プログラムは、このレシピをコンピューターに正確に渡す作業です。
合格すると、学校の算数や理科の「式の読み方」、国語の「指示文の読解」にも効く論理の筋道がつきやすくなります。検定の点数そのものより、「考え方の型が体に入った」ことが大きな収穫です。
[ここに図:レシピとプログラムの対応(順次・分岐・繰り返し・変数)の図解]
2. 詳細解説:レベル1の核となる4つ+Scratchで押さえる補足
ビジュアル編レベル1では、教材や年度によって表現が多少変わりますが、次のような考え方のセットが何度も登場します。ここでは順次処理・条件分岐・繰り返し・変数の4つを主軸にし、公式の説明でも触れられる並列処理と角度を短く補足します(詳細はサンプル問題で確認してください)。
2-1. 順次処理:上から下へ、1行ずつ実行される
順次処理とは、「書いた順番に、1つずつ実行される」というルールです。信号機でいえば、青→黄→赤と順番が決まっているイメージです。前の指示が終わるまで、次の指示は待ちます。
順次処理で使う典型ブロック
- 「動き」:
10歩動かす座標を〜にするx座標を〜にするy座標を〜にする - 「見た目」:
大きさを〜%にする言う - 「音」:
〜の音を鳴らす
X座標・Y座標の基礎(レベル1で必ず通る)
ステージは座標の平面です。
- x座標:左右。右に行くほど大きい(プラス)、左に行くほど小さい(マイナス)。
- y座標:上下。上に行くほど大きい(プラス)、下に行くほど小さい(マイナス)。
「x座標を0にする のあと y座標を0にする」のように並べると、先に左右位置、次に上下位置が決まります。順番を入れ替えると、途中で別の場所を経由するので、見た目の軌跡が変わることに注意してください。
[ここに図:Scratchステージの座標(原点・x・yの矢印)]
順次処理でつまずきやすいポイント
- **「いまどのブロックを実行中か」**を指でなぞる癖をつける。選択式では、動画の途中の一コマで止めて「次に実行されるのはどれ?」と聞かれることがあります。
- **座標と「向き」は別物です。「場所を動かす」ブロックと「向きを変える」ブロックが混ざると、子どもが混乱しやすいので、試験本番では変化した結果(キャラの位置・向き)**を紙にメモするのも有効です。
2-2. 条件分岐:「もし〜なら」と「〜でなければ」で道を分ける
条件分岐は、真偽(しんぎ:正しいか正しくないか、YESかNOか)によって、実行するブロックを切り替える仕組みです。信号機でいえば、「歩行者がいたら青を長くする」など、状況で処理が変わるイメージです。
条件分岐で使う典型ブロック
もし〜なら…(終了):条件が**真(はい)**のときだけ中身を実行。もし〜なら…でなければ…(終了):条件が真なら上の列、**偽(いいえ)**なら下の列。
「〜でなければ」を活用するコツ
「合格点以上なら合格メッセージ、そうでなければがんばろうメッセージ」のように、2択を1つの形で書くとバグが減ります。試験では「片方だけ もし を置いて、もう片方を忘れている」選択肢が紛れ込むことがあります。どちらの道も必要かを必ず確認してください。
よく使う条件の例
- 演算子:
<=>(数の大小) - センサー:
〜に触れた色に触れた - 論理:
〜かつ〜〜または〜(レベル1ではシンプルな形が中心)
条件分岐でつまずきやすいポイント
- 条件の向き:「
点数 > 80」と「80 < 点数」は同じ意味になることが多いですが、Scratchのブロックの組み方として自然なのは前者です。日本語の文に直してからブロックに写すとミスが減ります。 - 「=」は比べるイコール:算数の「式のイコール」と同じ記号でも、プログラムでは「左と右は同じ値か?」という質問だと捉えてください。
[ここに図:もし〜なら/でなければ の二股フローチャート]
2-3. 繰り返し:回数・無限・「〜まで」の使い分け
繰り返しは、同じような処理をまとめて何度も行う仕組みです。レシピでいえば「かき混ぜる操作を10回」と書かれている部分です。
1)回数が決まっているとき:〇回繰り返す
「ちょうど10回だけ」など、回数が先に決まっているときに使います。カウンター変数を自分で増やすより、ミスが少ないのが利点です。
2)終わりのタイミングが決まっているとき:〜まで繰り返す
「壁に当たるまで」「マウスポインターを触るまで」など、条件が満たされるまで続けます。ループの先頭に戻るたびに条件をチェックするイメージです。
3)終わりがプログラムの外側にあるとき:ずっと
ゲームのメインループのように、基本は止めないときに使います。試験問題では「ずっと」の中にさらに条件分岐を入れて、見かけ上は適切に止まる、という構造が出ることがあります。
繰り返しでつまずきやすいポイント
〇回繰り返すの中で「いま何回目?」を数えたいときは、変数に1ずつ足していく方法と、〇回繰り返すだけで十分な方法を取り違えない。問題文が「ちょうどN回」なのか「N回以下でよい」のかを読み分けます。〜まで繰り返すは、最初から条件が真なら一度も実行されないことがあります(教材によっては「最初に一度は実行」タイプの言語もありますが、Scratchのこのブロックの動きを公式教材・サンプルで確認してください)。- 無限ループの落とし穴:「
ずっとの中に終了条件がない」選択肢は、だいたい誤答です。
[ここに図:〇回繰り返す/〜まで繰り返す/ずっと のループ比較図]
2-4. 変数:データを入れる「名札つきの箱」
変数(へんすう)は、数や文字などのデータに名前をつけて入れておく箱です。レシピの「塩少々」の横に「3gとメモしておく」ようなもので、あとから「メモを読んで加減する」ために使います。
Scratchでの基本操作
〜を作成:変数を新しく作る(名前が大事)。〜にする:代入(いれたい値で、いまの中身を置き換える)。〜を変える:いまの値に加算や減算(マイナスの数を足すと減る)。
計算の読み方(よくある型)
スコアに0を代入(初期化)- 何かが起きたら
スコアを1だけ変える(加算) もし(スコア)>(10)ならクリア演出
変数でつまずきやすいポイント
- 初期化を忘れる:同じプログラムを二度実行したとき、前の値が残って大きな数になる、というパターンは定番のひっかけです。緑の旗の直下に「
スコアを0にする」があるかを必ず確認します。 変えるは「足す/引く」、にするは「上書き」です。問題文が「2倍にする」のとき、掛け算ブロックが必要なのに「2を変える」と書いてある誤答などに注意します。
[ここに図:変数=名札つきの箱(にする/を変えるの違い)]
2-5. 【補足】レベル1で一緒に押さえたい「並列処理」と「角度」
公式の説明では、ビジュアル言語の基礎として順次・条件分岐・繰り返しに加え、乱数や変数などの概念が列挙されることがあります。また、レベル1の解説記事や教材では並列処理(複数のスクリプトが同時に動く)や角度(向き、回転)もセットで扱われることがあります。
並列処理(Scratchなら複数の「帽子ブロック」)
たとえば、緑の旗を押したときのスクリプトがスプライトに2つあると、両方が同時に動き始めます。これが並列の感覚です。「AとBを交互に1歩ずつ」など、交互に見せたいのに両方が「ずっと」と書かれていると、タイミングがずれて意図と違う動きになる、という問題が出題されることがあります。
角度・向き
15度回す 向きを〜度にする は、位置(x,y)とは別の軸です。「向きだけ変えて位置はそのまま」か、「位置は動かすが向きは固定」かを混同しないようにしてください。
3. 攻略のヒント:問題文の読み方と典型的なひっかけ
3-1. 問題文の読み解き方
- 「〜したとき」と「〜まで」
- 「〜したとき」:イベント(緑の旗、キーが押された、クリックされたなど)が起きた瞬間に一度走るスクリプトの始まり。
- 「〜まで繰り返す」:条件が満たされるまで何度も先頭に戻る。
- 「ちょうどN回」と「N回以下」
国語の問題と同じで、ちょうどと以下と以上を線引きします。 - 動画問題では一時停止を恐れない
選択式では、一コマ手前で止めて「次に実行されるブロックは?」と自問すると正答率が上がります。早送り視聴だけだと、イベントの順番を取りこぼしがちです。
[ここに図:「したとき(1回)」と「まで繰り返す(繰り返し)」の対比図]
3-2. 典型的なひっかけパターン
- 初期化の忘れ
変数や座標、大きさ、見た目を、緑の旗の直後に戻していない選択肢。 - ループの終了条件が逆
>と<が逆、=を使うべきところで触れた判定になっている、など。 - 順番の入れ替え
「先に表示してから移動」と「先に移動してから表示」で、見え方が変わる。 - 「でなければ」の片側だけ実装
片方のメッセージが出ない、もう片方が二重に出る、など。 - 並列でタイミングが競合
2つの「ずっと」が同じ変数を同時に変える、など(レベル1ではやや少なめでも、念のため頭に置くとよいです)。
4. 学習ロードマップ:公式サンプルから自作ミニゲームまで
ステップ0:公式の足場を必ず踏む
- 【公式】プログラミング能力検定(プロ検)からサンプル問題を入手する。
- ビジュアル言語・レベル1の範囲に心を合わせ、制限時間つきで1セット解く。
- 間違えた問題だけ、なぜそのブロックが実行されるかを声に出して説明できるまで戻る。
ステップ1:Scratchの基礎を「手を動かす」で固める
- Scratch公式のチュートリアルやスタータープロジェクトで、座標・向き・繰り返し・変数に触れる。
- 学校や図書館の教材、自治体の体験講座など、信頼できる一次情報に近い教材を1冊か1サイト決めて、最後までやり切る。
ステップ2:自作ミニゲームでアウトプットする
次のどれか1つを「完成」と決めて作ると、試験で問われる型が一気に揃います。
- クリッカーゲーム:クリックでスコア(変数)が増え、一定点でクリア(条件分岐)。
- 障害物よけ:ずっと移動し、触れたらゲームオーバー(まで繰り返すやもし)。
- 当てはめクイズ:順次に問題を出し、正解で次へ(変数で問題番号)。
作ったあとに、緑の旗を二度押したときにちゃんと最初から始まるか(初期化)だけは必ずチェックしてください。
[ここに図:ミニゲームの画面構成と、対応するプログラム概念のマッピング]
ステップ3:直前対策は「型集め」
- 間違いノートを作り、「自分が読み飛ばした語」(ちょうど、まで、でなければ)だけを別ページに書き出す。
- サンプル問題を2周目は半分の時間で解く(本番の圧迫感の練習)。
5. まとめ:合格は「正解を当てるゲーム」ではなく「型を身につける修行」です
プログラミング能力検定(プロ検)ビジュアル編レベル1は、天才性より型の反復が勝ちます。順次処理で筋道を立て、条件分岐で道を分け、繰り返しで手間を減らし、変数で状態を覚えておく。この4つがそろうと、Scratchの画面が「記号の寄せ集め」から「意味のある地図」に見え方が変わります。
試験当日は、落ち着いて問題文の語とブロックの実行順に線を引いてください。あなたのペースで大丈夫です。練習の積み重ねは、必ず返ってきます。合格おめでとう、と言える日を楽しみにしています。
参考リンク(一次情報)
- 【公式】プログラミング能力検定(プロ検)
- サンプル問題(公式)(ページ構成は変更される場合があります)
- Scratch公式サイト
本記事は学習支援を目的とした解説であり、試験の採点基準や出題の保証をするものではありません。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
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