
「プログラミングを学ばせたほうがいいとは思うけど、本当に必要なのかわからない」
この迷いを持っている保護者の方に、正直に話します。
私は30年近くWebエンジニアとして働き、官公庁・自治体のWebシステム・大規模ECサイト・自治体公式SNSの構築と運営を経験してきました。今は沖縄でプログラミングスクールを運営しながら、子どもたちに毎日プログラミングを教えています。
その立場から言えることは、「プログラミングを学べば必ず成功する」とは言えません。それは誇大表現です。しかし「プログラミングを学ぶ過程で身につく力は、プログラミング以外の場所でも確実に役立つ」とは、現場で見てきた事実として言えます。
この記事では、子どもがプログラミングを学ぶことで本当に何が変わるのかを、現場での観察と私自身の経験をもとに、できるだけ地に足のついた表現でお伝えします。
論理的思考力と問題解決力が育つ、本当の理由
「プログラミングを学ぶと論理的思考力が育つ」という話はよく聞きます。でも「なぜそうなるのか」が説明されていることは少ないです。ここをきちんとお伝えします。
プログラミングとは、コンピュータへの「指示書き」です。コンピュータは、人間のように「なんとなく」理解することができません。曖昧な指示を受け取ると、動きが止まるか、まったく意図しない動きをします。
「キャラクターを右に動かしたい」という目標を実現するには、「右向きになる」「1歩進む」「アニメーションを更新する」「壁にぶつかったら止まる条件を確認する」——というように、目標を細かい手順に分解して、順番を考えて指示する必要があります。
この「大きな目標を小さな手順に分解して、順番を決める」という作業は、論理的思考の核心です。
算数の文章問題を解くとき、「何を求めるのか」「そのために何がわかっているのか」「どの順番で計算するか」を整理する力と、プログラミングで「何を実現するのか」「そのために何の処理が必要か」「どの順番で実行するか」を考える力は、まったく同じ思考のパターンです。
クロスウェーブで子どもたちを見ていると、プログラミングを続けた子が学校の算数・理科の「問題の立て方」が変わることがあります。「まず何がわかっているかを確認する」「次にどの手順で解くか考える」——この手順を踏むことが自然になってくる。これが、プログラミング学習が「論理的思考力を育てる」と言われる実態です。
ただし、「プログラミングを学べば自動的に論理的思考力が上がる」というものではありません。「自分で考えながら作る」という体験の質と量が重要です。先生が手順を教えてそのまま真似するだけの授業では、この効果は限定的です。
「失敗→修正→再挑戦」のサイクルが自己肯定感を育てる
プログラミングの授業で、最初からうまくいく子はいません。必ず「動かない」「エラーが出る」「思ったのと違う動きになった」という場面が来ます。
「失敗した」という場面でどう対処するかを観察していると、プログラミングを続けた子どもに共通の変化があります。
最初は「なんで動かないの!」と感情的になっていた子が、数か月後には「どこが間違ってるかな」と落ち着いて原因を探るようになる。「完全に解決できなくてもいいから、少しずつ近づいていこう」という姿勢が育ってくる。
なぜこの変化が起きるのか。それは「失敗がゴールではない」ということをプログラミングの体験を通じて繰り返し学ぶからです。
プログラミングでは、エラーが出ることは「終わり」ではありません。「まだ正しい答えを見つけていない」という状態です。エラーメッセージは「失格の通知」ではなく「次にどこを直せばいいかのヒント」です。
この感覚が体に入ると、プログラミング以外の場面でも変化が起きます。「テストで間違えた」「発表で上手くいかなかった」——そういう場面で「だから自分はダメだ」ではなく「どこを直せばいいか」という発想が自然に出てくるようになります。
「失敗は情報である」という考え方は、プログラミングを通じて体で覚えるのが最も効率的な方法の1つだと、現場で感じています。
ただし、「失敗を放置する」のではなく「失敗と向き合いながら前に進む」という経験が大切です。詰まっているときにサポートなしで放置しすぎると、諦め癖がつく可能性もあります。適切なサポートの下での「自力での解決体験」が、自己肯定感につながります。
集中力と忍耐力への影響
「ゲームばかりしている子どもが集中力があるとは思えない」という声を保護者の方から聞くことがあります。でもこれは少し視点を変えると見えてきます。
ゲームに熱中できる子どもは、「面白い」と感じている対象への集中力は持っています。その集中力を「プログラミング」という方向に向けるためのきっかけが「マインクラフト」や「ゲームを自分で作る」という体験です。
クロスウェーブの授業では、1時間以上途切れることなくプログラムを書き続けている子どもを毎回見ます。学校の授業では10分も集中できないと言われていた子が、プログラミングの授業では平気で2時間画面と向き合っている、という話を保護者の方から聞くことがあります。
これは「プログラミングが魔法のように集中力を高める」ということではありません。「自分が作りたいものに向かう体験」が、集中の源になっているということです。
「やらされている」作業と「作りたいものを作っている」作業では、集中の質がまったく違います。プログラミング学習で大切なのは、この「作りたいもの」が子ども自身から出てきているかどうかです。課題をこなすだけの授業では、集中力・忍耐力への効果は限定的です。
忍耐力については、「1週間・1か月かけてようやく動いた」という体験が最も効果的です。クロスウェーブでマイクラカップの作品制作に取り組んでいる子どもたちは、数か月にわたって同じ作品を作り続けます。「なぜかうまくいかない部分」を何週間も試行錯誤しながら改善し続ける経験は、長期的な目標に向けて粘り続ける力を確実に育てます。
チームで作ることで育つコミュニケーション力
プログラミングは「1人でパソコンと向き合う孤独な作業」というイメージを持たれることがありますが、クロスウェーブでは積極的にチームで作品を制作する機会を設けています。
マイクラカップでの作品制作は、常にチームで行います。小学生・中学生・高校生が混在するチームで、1つの作品を完成させるためには、以下のような力が必要になります。
「自分のアイデアを言葉で伝える力」——頭の中にある設計を、チームメンバーに理解してもらうためには言語化が必要です。「なんとなくこういう感じ」という表現では伝わりません。図に描いたり、具体例を出したり、順番を説明したりする能力が必要になります。
「相手の意図を正確に読む力」——チームメンバーが言っていることを正確に理解する力も同じく重要です。「A君がこの部分を担当するから、自分はあの部分に集中しよう」という役割分担の判断も必要です。
「合意形成の力」——チームで意見が食い違う場面は必ず来ます。「こっちの仕掛けを使いたい」「いや、こっちの方がいい」という議論を、チームが前に進む方向に解決する力は、仕事の現場で最も求められる力の1つです。
第7回マイクラカップでTBS賞を受賞したチームの準備過程を振り返ると、最も盛り上がった場面の1つは「意見がぶつかった瞬間」でした。「なぜそうしたいのか」を言語化し、相手の意見の良い部分を取り入れながら合意点を見つけていく過程が、チームを強くした要因の1つだったと思っています。
「コミュニケーション力」という言葉は漠然としていますが、「アイデアを言葉にする」「相手の言葉を正確に受け取る」「意見の食い違いを解決する」という具体的な場面での経験が積み上がることで、実際に変化していきます。
将来の職業選択肢が広がる。具体的な職種の例
「プログラミングを学べば将来に役立つ」という話は多いですが、「どんな職種で使えるのか」という具体的な情報は少ないです。現役エンジニアの立場から、具体的に整理します。
プログラミングスキルが直接使われる職種として、まずシステムエンジニア(※企業や組織のためのシステムを設計・開発する職種)があります。銀行・病院・行政・物流など、あらゆる組織のシステム基盤を設計・構築する仕事です。私自身が長年関わってきた分野で、官公庁のシステム担当として現在も携わっています。
プログラマー(※設計に基づいてコードを書く職種)、Webエンジニア(※WebサイトやWebアプリを開発する職種)、スマートフォンアプリのエンジニアは、今最も求人数の多い職種の1つです。
データサイエンティスト(※大量のデータから意味を見つけ出す職種)・AIエンジニア(※AIシステムの設計・開発をする職種)は、2026年現在において特に需要が拡大しています。プログラミングの基礎がないと入れない分野です。
ゲームクリエイター(※ゲームのプログラム・グラフィック・ゲームデザインを担当する職種)、UI/UXデザイナー(※ユーザーの使いやすさを設計する職種)は、プログラミングとデザインの両方の素養が求められます。
一方で、プログラミングが「直接」の仕事でなくても役立つ職種があることを見落としがちです。
マーケター・広告担当者がAIを使ってコンテンツを生成・分析する際、プログラミングの基礎があると作業効率が劇的に変わります。経営者・管理職がDX(※デジタルトランスフォーメーション。会社のデジタル化と業務改革)を推進する際、「エンジニアが言っていることが理解できる人」と「まったくわからない人」では判断の質に大きな差が出ます。医療・法律・教育などの専門職でも、データ活用・システム活用の場面でプログラミングリテラシー(※プログラミングの読み書きの基礎力)があるかどうかが影響してきています。
「プログラミングを仕事にする人を育てる」だけでなく、「どんな仕事に就いても使えるプログラミング的な考え方を育てる」——これがクロスウェーブの指導の基本姿勢です。
2020年の必修化と、学校教育との接続
2020年度から、小学校でのプログラミング教育が必修化されました。続いて2022年度から高校で「情報Ⅰ(※プログラミング・データ活用・情報セキュリティなどを学ぶ高校必修科目)」が必修化され、2025年度の大学入学共通テストから「情報」が正式な出題教科として加わっています。
この変化を、どう理解すればいいかをお伝えします。
小学校の必修化でプログラミングに触れる機会は確かに増えました。ただし、学校の授業では時間の制約があります。「週1回の授業でプログラミングの概念に触れる」レベルと、「民間教室で週複数回、作りたいものを作り込む体験を積む」レベルでは、身につく力の深さが異なります。
学校での学習と民間教室での学習は、補完関係にあります。「学校でScratchの操作方法を習った→教室でScratchを使って自分のゲームを作る」という流れが、最も効果的な組み合わせです。
高校の情報Ⅰ・大学共通テストとの接続という観点では、中学生のうちにプログラミングの基礎を積んでおくことが、情報Ⅰの学習を有利に進めるための土台になります。「プログラミングを一度も触ったことがない高校1年生」と「プログラミングに3〜4年触れてきた高校1年生」では、情報Ⅰの理解度がまったく変わります。
プログラミング能力検定(※経済産業省が後援する公式の資格試験)を取得しておくことは、高校入試の特色選抜(※沖縄県の高校入試で内申・実績を重視する選抜方式)や、大学のAO入試・総合型選抜での実績としても機能します。資格として証明できる力を早期に積んでおくことは、受験戦略の観点からも意味があります。
「ゲームをする側」から「ゲームを作る側」への転換
「うちの子、マイクラばかりしている」という保護者の方の声をよく聞きます。この状況を、少し違う角度で見てほしいのです。
マイクラに熱中できる子どもは、「作ること」への本能的な興味を持っています。マイクラ自体が「作るゲーム」であるため、建築・自動化・仕掛け作りに夢中になっている子は、「作ることが好き」という動機をすでに持っています。
その動機を「プログラミング」という方向に向けるのに、マイクラほど自然な入口はありません。「マイクラで遊んでいたら、気がついたらプログラミングも覚えていた」という状態を作ることが、クロスウェーブの狙いの1つです。
「ゲームを作る側」への転換は、子どもの自己認識を変えます。
「自分はゲームで遊ぶのが好きな子」から「自分はゲームを作れる子」への変化は、単なるスキル習得ではありません。「作る能力を持つ人間」としての自己像の変化です。この変化は、プログラミングへの取り組みだけでなく、他の学習や挑戦に対する姿勢にも影響を与えることがあります。
マイクラカップで全国大会に出場した子どもたちは、かつて「マイクラで遊ぶことが好き」という子たちでした。「自分が作ったもので審査員が驚いた」「東京大学の会場でプレゼンした」という体験が、彼ら彼女らの自己認識をどれほど変えたか。それは数字で表せるものではありませんが、現場で見てきた確かな変化です。
クロスウェーブで実際に見られた変化の具体例
抽象的な話だけではなく、クロスウェーブで実際に観察した変化をいくつかお伝えします。ただし、個人差があることを前置きします。すべての子どもに同じ変化が起きるとは言えません。
「授業中に先生の話を聞かない」と言われていた子が、プログラミングの授業では誰よりも集中して取り組むようになった。「何が違うのか」を聞くと「自分が決めたものを作っているから」という答えが返ってきました。「やらされる」と「自分でやる」の違いが、集中の質を変えます。
「間違えることが怖くて、テストでも答えを書けない」という子が、プログラミングの授業では何度もエラーを出しながら試行錯誤するようになりました。「ここではどれだけ間違えても怒られない」という環境が、最初のきっかけでした。その姿勢が少しずつ他の場面にも広がっていった、という話を保護者の方から聞きました。
マイクラカップのチームに入った中学生が、プレゼンの練習を通じて「話すこと・伝えること」への苦手意識が変わった事例もあります。「東京大学の審査員の前で話す」という本物の経験が、ある種の自信を作りました。
チームで作品を作る中で「年下の子のアイデアの方がいいと気づいたとき、素直に認められるようになった」という中高生の話も印象に残っています。プライドと協力のバランスを、体験の中から学んでいきます。
こうした変化は、「プログラミングを3か月習えば起きる」という性質のものではありません。半年・1年・それ以上の積み重ねの中で、少しずつ現れてくるものです。急ぎすぎず、長い目で見ることが大切です。
迷っている保護者の方へ、最後に
「プログラミングをさせたほうがいいか」という問いへの答えとして、私が言えることをまとめます。
「プログラミングを学ぶこと自体」より「プログラミングを通じて何を経験するか」の方が重要です。教室・カリキュラム・環境を選ぶときは「子どもが楽しみながら考える機会があるか」を優先してください。
「完成させることより、作り続けること」の方が、長期的には力になります。「もう少しで完成するのに止めてしまった」という経験より、「完成しなかったけど何か月も試行錯誤し続けた」経験の方が、思考力と忍耐力への影響は大きいです。
「子どもが楽しんでいるかどうか」が最も信頼できる指標です。楽しんでいる子は続けます。続けた子は力がつきます。「楽しそうじゃなければ、無理に続けさせない」という判断も、選択肢の1つです。
クロスウェーブでは無料体験授業を随時受け付けています。「迷っているうちに、まず体験してみる」というのが最も情報量の多い判断材料になります。
公式LINEに「体験授業について聞きたい」と一言お送りください。お子さんの年齢・現在の状況に合わせて、具体的にご案内します。誇大な約束はしません。ただ、「楽しんで考え続ける体験」は用意できます。
沖縄マイクラ部プログラミングスクール「クロスウェーブ」
沖縄県宜野湾市伊佐2-20-15 伊佐ビル2F
マイクラ部への参加方法
マイクラ部への参加を希望される方はLINEアカウントへ登録を頂くか、メールにて「webcrafts098@gmail.com」までご連絡をお願いします。
沖縄マイクラ部プログラミングスクール「クロスウェーブ」では、マインクラフトカップへの参加を目指す仲間を募集しています。子供たちへのプログラミング教育として「Python」「Scratch」「MakeCode」「JavaScript」「Unity」「Godot」などを指導しています。動画編集講座(Premiere Pro・DaVinci Resolve・CapCut)やHTML/CSSでのWeb制作講座も開催中です。
マイクラカップ参加希望の方へ
マイクラカップへの参加を希望される方は、人数把握のため以下のフォームからも申請をお願いします。申込時はマインクラフト教育版のライセンス費用が発生いたします。
開催地域
沖縄県宜野湾市
沖縄マイクラ部プログラミングスクール「クロスウェーブ」にて開催しています。
沖縄県うるま市
FMうるまにて開催しています。
FMうるま
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