
沖縄を舞台にしたご当地RPGをプログラミングコンテストへ出したい。でも、RPGと聞くだけで「小学生には大きすぎるのでは」と心配になりますよね。
広い島を自由に歩き、何十人もの登場人物と話し、戦闘や装備やレベルアップまで作る。そこまで考えると、確かに締切へ間に合いません。作り始める前から、企画だけで息切れします。
けれども、RPGの楽しさは規模だけで決まりません。主人公が歩き、誰かと話し、1つの目的を果たしてゴールする。この短い流れでも、遊べる物語になります。最初は沖縄全体ではなく、本人が知っている1つの場所から始めればいいんです。
沖縄マイクラ部では、これまで子どもたちが沖縄県庁など地域を題材にしたワールドを作り、マイクラカップへ挑戦してきました。2024年には首里城を題材にした全12回の講座で、作品制作とまちづくりの発表にも取り組んでいます。地域をゲームの中へ入れるとき、大切なのは名所をたくさん並べることではありません。その場所で何を見て、何を考え、遊ぶ人にどう動いてほしいかを決めることです。
ご当地RPGは観光地の一覧ではありません
首里城、国際通り、美ら海水族館、離島、エイサー、三線、沖縄そば。沖縄にはゲームに使えそうな題材がたくさんあります。ところが、全部を1つの作品へ入れると、観光案内の項目が増えるだけで、主人公が何をする話なのか見えなくなります。
まず決めたいのは、場所より主人公の目的です。誰が、何に困っていて、プレイヤーは何をすれば終わるのか。この3つが決まると、必要な場所と登場人物を選べます。
たとえば、宜野湾の公園を舞台にするなら、「落とし物の持ち主を探す」「台風前に飛びそうな物を片づける」「お祭りの準備を手伝う」など、1つの目的を置けます。目的に関係しない名所は、無理に加えなくて大丈夫です。
観光パンフレットをゲームへ写すのではなく、子どもが知っている場所で短い出来事を作る。そこから始める方が、本人の言葉で説明できる作品になります。
最初に作るのは歩く、話す、終わるの3つです
RPGらしく見せようとして、戦闘システムから作る子もいます。でも、コンテストへ出せる形を早く作るなら、次の3つを先に動かします。
- 主人公を操作して歩ける
- 登場人物へ近づくと会話できる
- 1つの条件を満たすとクリアになる
この流れが最初から最後まで動けば、作品の核はできています。あとからアイテム、敵、別のマップ、音楽を加えられます。
たとえば「市場で頼まれた食材を1つ探し、持ち帰る」という話なら、主人公、依頼する人、食材、クリア判定があれば遊べます。食材を10種類に増やすのは、最初の1つが最後まで動いてからです。
小さく作ることは、手を抜くことではありません。変更したときにどこが壊れたかを見つけやすくなり、家族にも早く遊んでもらえます。遊んだ人の反応を見てから広げる方が、必要な機能を選べます。
本人が知っている沖縄を1つ選びます
「沖縄らしいものを入れよう」と言われても、範囲が広すぎて子どもは迷います。そこで、実際に見たもの、家族と話したこと、毎週通る場所のどれかから選びます。
宜野湾の公園で見たもの、通学路の坂、近所のお店、地域の祭り、台風前に家でしている準備。大きな観光地でなくても、ゲームの材料になります。
保護者の方は、本人へ次のように聞いてみてください。
- この場所で覚えていることは何?
- 誰が出てくると、その場所らしくなる?
- そこで困ることや、手伝えることはある?
- ゲームを終えた人に、何を覚えてほしい?
実際に行ったことがない場所を扱うなら、写真、自治体や施設の公式情報、図書館の資料などで調べます。分からないことを想像で事実のように書かず、「物語として作った部分」と「調べた事実」を分けてください。
地域を題材にすると、文化や歴史の扱いにも責任が出ます。方言、伝統行事、信仰に関わる場所などは、おもしろさだけで雑に使わず、意味を調べます。家族や地域の詳しい人へ聞けるなら、制作の途中で見てもらうのもいいでしょう。
離島を巡るなら2つの島から始めます
船で島を渡り、それぞれの住人から依頼を受ける構成は、RPGにしやすい題材です。ただ、沖縄の離島を全部作ろうとすると、マップと調査だけで時間がなくなります。
最初は2つの場所に絞ります。1つ目で道具を受け取り、2つ目で使って困りごとを解決する。行き来に意味があれば、短くても旅を感じられます。
島の名前や文化を実在のものとして使うなら、位置、特産品、行事などを公式情報で確認します。架空の島にする方法もあります。その場合は、「沖縄の風景を参考にした架空の島」と説明すれば、事実との混同を避けられます。
移動する船を細かく操作できなくても、地図上で行き先を選ぶ画面にすれば作れます。技術的に難しい演出を減らし、物語のつながりを残す考え方です。
エイサーや三線は音だけに頼らず遊びへ変えます
エイサーを題材にするなら、曲を流すだけでなく、プレイヤーが何をするかを決めます。祭りに参加する仲間を探す、練習場所へ道具を届ける、合図に合わせてボタンを押すなど、物語と操作をつなげます。
三線を題材にした収集型RPGなら、音色のかけらを集める設定にできます。ただし、実際の楽曲や録音を使う場合は著作権や利用条件の確認が必要です。使えるか分からない音源をインターネットから保存して入れるのは避けてください。
音を自分で録る、制作ツールに用意された素材を使う、利用条件が明確な素材を選ぶ方法があります。音が用意できなくても、会話や画面の変化で物語は伝えられます。素材探しで作品全体が止まるくらいなら、まず無音でも最後まで遊べる状態にします。
台風への備えをクエストにします
沖縄で暮らす子どもにとって、台風前の準備は身近な題材です。買い物をする、外にある物を片づける、停電に備える、家族で情報を確認する。こうした行動をクエストへ変えられます。
ただし、防災情報を扱うなら、ゲームだけで正しい判断ができるように見せないことが大切です。避難や警報の内容は、気象庁や自治体の最新情報を確認する必要があります。ゲームの中でも「実際の災害時は公式情報を確認する」と伝えます。
選択によって結果が変わる仕組みにすると、考えるゲームになります。何を買うかを当てるだけでなく、限られた時間で優先順位を決める、家族構成によって必要な物が変わる、といった設計もできます。
最初から複雑なシミュレーションにせず、クエストを1つ選びます。「外にある飛びやすい物を3つ片づける」だけでも、操作、得点、クリアを作れます。
海やサンゴを扱うなら行動を1つに絞ります
海を守る大きなテーマは魅力がありますが、「環境を良くする」という目的だけでは、何を操作するゲームか決まりません。
海岸でごみを分類する、サンゴに近づきすぎる観光客へ案内する、海の生き物を観察して記録するなど、プレイヤーの行動を1つ選びます。正しい情報が必要な部分は、公的機関や研究機関の資料で確認してください。
説教する文章を長く表示するより、遊びの結果で違いが見える方が伝わります。ごみの分別を間違えると得点が入らない、案内を読むと次の場所へ進める、といった仕組みにします。
本人が海で見たことを使うなら、実際の経験だけを書きます。経験がなければ、調べて興味を持ったこととして作れば大丈夫です。作品を立派に見せるために、存在しない体験を足す必要はありません。
食文化はアイテム名より人との関係を入れます
沖縄そば、ゴーヤーチャンプルー、サーターアンダギーなどを回復アイテムにすると、画面はご当地らしく見えます。でも、料理名を並べるだけだと、その子の物語にはなりにくいものです。
誰が作り、誰へ届け、なぜ必要なのかを考えます。市場で材料を集めて家族の食卓へ届ける、祭りの準備をしている人へ差し入れする、注文を聞いて正しい料理を渡す。人との関係が入ると、短いクエストにも理由が生まれます。
料理について説明するなら、材料や由来を調べます。家庭ごとに作り方が違うものは、1つの正解として断定せず、「このゲームではこの作り方を参考にした」と示す方が誠実です。
Scratchなら場面を切り替えて作れます
Scratchで広いマップを1枚作るのが難しければ、背景を切り替えて場所を表現できます。家、道、市場の3場面だけでも旅になります。
主人公が画面の端へ着いたら次の背景へ移る。登場人物に触れたら会話を表示する。必要なアイテムを持っていればクリアする。この順番で1つずつ動かします。
変数は、持っているアイテムの数、クエストが始まったか、会話が終わったかなど、必要なものから増やします。最初から大量に作ると、どの変数が何を示すのか本人も分からなくなります。
家族に遊んでもらい、次へ進む方法が伝わるかを見ます。作者にはわかる道でも、はじめて遊ぶ人には入口が見えないことがあります。矢印や短い案内を加えるだけで遊びやすくなります。
MakeCode Arcadeは短い冒険と相性があります
MakeCode Arcadeは、2Dのキャラクターを動かし、アイテムや敵との当たり判定を作れます。短いアクションを含むRPGなら、まず1画面で試作できます。
マップを広げる前に、主人公を動かして1人と話します。次に1つのアイテムを集め、ゴールするところまで作ります。ゲームオーバー後にもう一度遊べるかも確認してください。
制限時間や敵を加えると急に難しくなることがあります。物語を伝えることが目的なら、敵を減らしたり、触れてもすぐ終わらないようにしたりして構いません。難しいほど良いゲームになるわけではありません。
Roblox(ロブロックス)Studioは小さな区域だけ作ります
Roblox Studioなら、3Dの街を歩き、登場人物へ近づいて会話する作品を作れます。沖縄の景色を立体で表現したくなると、建物を次々に増やしたくなりますが、最初は1つの区域へ絞ります。
公園の入口から目的地まで歩く、市場の数軒を回る、海辺で1つの依頼を終える。その範囲で、移動、会話、クリアが動くことを先に確かめます。
Lua(ルア)で会話やアイテム取得を実装するときも、1つずつ作ります。無料モデルを使う場合は、出所や中に入っているスクリプトを確認してください。知らないスクリプトを含むモデルを大量に入れると、意図しない動作や安全上の問題につながることがあります。
3Dゲーム制作を学びたい方は、Roblox(ロブロックス)コースで扱う内容も確認できます。
テキストRPGなら物語へ集中できます
PythonやJavaScriptで、文章と選択肢を中心にしたRPGを作る方法もあります。絵や広いマップを用意しなくても、プレイヤーの選択で物語を分けられます。
「市場へ行く」「海へ行く」のどちらかを選ぶ。持っているアイテムによって会話が変わる。台風前の行動を選び、最後に結果を表示する。条件分岐と変数を使えば、短い物語をプログラムにできます。
ただし、検索では「沖縄プログラミングコンテスト」と調べる方も多いです。正式な大会名は宜野湾プログラミングコンテストです。宜野湾プログラミングコンテスト2026は小学生が対象です。中学生や高校生がPythonやJavaScriptで作品を作る場合、今回の宜野湾地区大会の応募対象ではありません。作品制作そのものや別の発表機会へつなげることはできますが、応募資格を混同しないでください。
コンテストへ出す前に遊べる範囲を固定します
宜野湾プログラミングコンテスト2026は、沖縄県宜野湾市に住む小学生、または宜野湾市のスクールに通う小学生が対象です。応募期間は2026年7月1日〜9月30日で、締切は9月30日(水)23:59。コンピュータプログラミングで開発したオリジナル作品を募集し、特殊なハードウェアを必要とする作品は応募できません。テーマは自由です。
大会概要には変更の可能性もあるため、応募前にはTech Kids Grand Prix 宜野湾地区大会の公式ページを確認してください。クロスウェーブ側の案内は、沖縄・宜野湾プログラミングコンテスト2026の詳細にまとめています。
締切へ向けて、完成させる範囲を紙へ書きます。
- 遊べるマップの数
- 登場人物の数
- クエストの数
- クリア条件
- 今回は作らない機能
最後の「作らない機能」も大切です。戦闘は次回、別の島は提出後、装備はなくてもよい、と決めます。思いついた案は捨てずに「次に作りたいこと」へ移せば、今の作品を完成させやすくなります。
家族に一度遊んでもらいます
作者は物語も操作も知っています。はじめて遊ぶ家族がどこで止まるかを見ると、説明不足や不具合が見つかります。
遊んでいる途中で正解を教えず、まず見守ります。終わったら、「始め方は分かった?」「次に何をすればいいか迷った場所はあった?」「どの会話を覚えている?」と聞きます。
意見を全部入れる必要はありません。本人が作品の目的と照らし、直すものを選びます。低学年でも遊べるようにしたいなら案内を増やす。少し考えてほしいなら、ヒントをすぐ出さない。誰向けに作ったかで判断が変わります。
紹介文では場所より体験を説明します
「沖縄を舞台にしたRPGです」だけでは、作品の中身が伝わりません。誰を操作し、何を解決し、どんな工夫をしたかを書きます。
たとえば、「宜野湾の公園を参考にしたマップで、台風前に飛びそうな物を片づけるゲームです。低学年でも遊べるように、近づくと行動のヒントが出るようにしました」と書けば、題材、操作、工夫が分かります。
本人が話した言葉を保護者の方がメモし、口に出して読める文章へ整えます。立派な観光説明を大人が書き足すより、本人がなぜその場所を選んだかを一文残してください。
小さな旅を完成させるところから始めます
ご当地RPGを作るとき、沖縄らしさを増やすほど良い作品になるとは限りません。まず場所を1つ選び、主人公の目的を決めます。歩いて誰かと話し、物語が終わるところまで動かしてから、必要な文化や風景を足します。
クロスウェーブが地域を題材にした作品づくりで大切にしてきたのも、子ども自身が考えたことを形にし、人へ説明するところまで進めることです。地域名を貼るだけではなく、本人の見方をゲームのルールや会話へ変える。そこに制作のおもしろさがあります。
今夜始めるなら、「沖縄のどこを作る?」より、「主人公は誰を助ける?」と聞いてみてください。答えが決まったら、最初の場所と会話を1つ作ります。大きな地図は、その短い冒険が最後まで動いてからでも遅くありません。
沖縄のプログラミング教室で、Scratch、MakeCode、Roblox Studioなどを使ったゲーム制作からコンテストへの応募まで相談したい方は、クロスウェーブのプログラミングコースをご覧ください。
教室の場所と送迎経路はクロスウェーブへのアクセスで確認できます。見学だけでも大丈夫です。
この記事を書いたのは、沖縄マイクラ部・クロスウェーブ代表の鈴木孝昌です。経歴はすずきたかまさ(鈴木孝昌)プロフィールにまとめています。
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沖縄マイクラ部プログラミングスクール「クロスウェーブ」 代表:鈴木 孝昌 (Google/Meta本社招待・政府PM・日本ソフトウェア大賞・マイクラカップ沖縄地区最優秀賞・TBS賞) 運営母体:株式会社WEVA(沖縄AI勉強会 WEVA)|沖縄ホームページ制作工房WEBCRAFTS 沖縄県宜野湾市伊佐2-20-15 伊佐ビル2F (c) 2012-2026 WEVA. All Rights Reserved.
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