
宜野湾の面談で、保護者の方がこう聞いたことがあります。
「ChatGPTがコードを書いてくれる時代ですよね。うちの子、まだプログラミング教室に通わせる意味ありますか?」
自分は、いつも少し間を置きます。言語の名前を足す前に聞きたいのは、誰の困りごとを、どんな作品にして、どう確かめたか、なんですよね。うるまや北谷から通うご家庭でも、同じ温度の質問が増えています。
2026年9月30日、古謝玄太氏が沖縄県知事に就任し、古謝県政が始まりました。10月6日の県議会では、就任後初の所信表明がありました。その中に、「AIなどのIT教育」と、沖縄工業高等専門学校(沖縄高専)・琉球大学・沖縄科学技術大学院大学(OIST)との連携による人材育成の加速、という文言が入っています。
この記事は、知事や政党への支持・不支持を述べるものではありません。所信表明と公開されている政策資料で何が示されたのかを確かめ、デジタル庁の人材育成議論と、沖縄県がすでに動かしているIT人材の仕組み、そして沖縄マイクラ部プログラミングスクール「クロスウェーブ」で子どもたちと向き合っている側からの観察をつなぎます。中心の問いは、一つです。
AIがプログラムを書く時代に、沖縄の子どもたちは何を学ぶべきなのか。
古謝県政の所信表明で何が書かれたか
所信表明の原文は、古謝げんた公式サイトで公開されています。知事 所信表明(PDF) と 所信表明の案内ページ です。令和8年第3回沖縄県議会(定例会)の就任あいさつとして、2026年10月6日付です。
県政運営の軸として示されたのは、「沖縄をまもる」「沖縄をひらく」「沖縄をつなぐ」の三つの柱です。暮らしや経済の改善を実感するための目標として、今後10年間で一人当たり県民所得500万円、4年の間に子育て予算1,000億円、今後8年間で観光収入2兆円、という三つの「ふやす」も置かれています。報道でも、この三つが大きく取り上げられました。
そのうえで、三つの柱と目標を実現するために「10の分野120の政策」を展開する、と述べられています。人材育成の分野では、おおむね次の趣旨が書かれています。
- 沖縄独自の環境を生かしたグローバル教育や、AIなどのIT教育、文化・自然に関する教育の推進
- 沖縄高専、琉球大学、OISTと連携し、地域課題の解決や産業振興を担う人材育成を加速する
ここまでが、所信表明の本文で確認できる範囲です。対象学年、授業時数、予算額、所管課、新規の補助制度の設計までは、このあいさつ文だけでは決まっていません。決まっていないことを、決まったかのように書かない。それが、この記事の線引きです。
選挙前から公開されていた「沖縄を前に進める120の政策」には、所信表明と重なる人材育成の項目に加え、中小企業のDX・AI導入支援、先端AI人材の育成、OISTや国(産総研等)と連携したAI・量子などの新産業と既存産業のAX化(AI導入)支援、産学官民連携の窓口、といった項目も並んでいます。120の政策(PDF) と 政策ページ です。
公約の一覧と、就任後に議会で述べた所信、そしてこれから組まれる令和9年度予算や公募は、層が違います。混ぜないことが、信頼につながります。教育現場から見て、いま大事なのは「言葉が入ったこと」と「制度がまだ設計中であること」を同時に見ることです。
デジタル庁が問う「人数」の次の「質」
国の側でも、似た問いが机の上にあります。
デジタル庁の「今後のデジタル人材育成政策に関する検討会」第1回は、2026年9月9日に開かれました。政府は2022年度から2026年度末までのデジタル推進人材230万人育成を目標にしてきましたが、資料上は2025年度までの累計244万人で前倒し達成、と整理されています。一方で、育成された人材がどんな成果を生み出しているのか、という質の検証は十分とはいえない、という問題意識が議事概要に載っています。入口は 検討会(第1回)のページ です。
ここは「検討会での意見・問題意識」であり、小中学校のカリキュラムを変える告示ではありません。意見として出ているのは、たとえば次のような層です。
- AIを使える人ではなく、AIを使って組織や事業を変えられる人が重要
- 問いを立て、業務を再設計し、組織を変えられる力が求められる
- スキルや資格から出発するより、出口(配置やプロジェクト)を先に設計する
自分の言葉にすると、コードが書けることや、生成AIの画面を開けることは入口です。出口は、誰の仕事がどう変わったか、地域の課題にどう触れたか、です。同じ論点の詳細は デジタル人材230万人の育成目標達成、次は「質」へ(Note) 、本番向けの整理は デジタル人材育成は人数から成果へ にも置いています。
古謝県政が掲げるAI・IT教育も、受講人数だけで閉じると、国がいま問い直している場所と同じ穴に落ちやすい。子ども向けでも、大人向けでも、同じです。
沖縄県にもうあるIT人材育成の入口
県政が新しくなっても、ゼロからの話ではありません。沖縄県には、すでに年齢層の違う入口があります。自治体の担当者が事業を探すときも、ここから確認できることが多いです。
子ども・学生向け|沖縄未来のIT人材創造事業
沖縄未来のIT人材創造事業 は、将来の沖縄の産業界をITで支える「未来のIT人材」を育てる取組を支援する事業です。補助事業では、小学生部門と中高生部門があり、プログラミング教室やロボットコンテストなどのスキル習熟、ハッカソンや保護者向けセミナーなどの意識啓発が対象例として示されています。委託事業では、学生とIT企業のマッチング、企業説明会・企業訪問、PRイベントなどが置かれています。所管は商工労働部 ITイノベーション推進課です。
令和8年度の補助金・委託の公募は、県の公告ページ上で募集終了となっています(例:令和8年度補助金、令和8年度委託)。成果報告は過去年度分が県サイトに並んでいます。令和9年度の予算規模や新規公募の中身は、この記事の確認日(2026年10月18日)時点では未発表です。発表前に断定しません。
社会人・企業向け|IT-X、DX人材養成、デジタルリテラシー
大人側にも、別の階段があります。
- 先端IT人材育成支援事業(IT-X):県内IT事業者や各産業のIT部門向け。AI・IoT・クラウド等の講座や実践研修など。実施案内は IT-X
- DX人材養成事業:経営層・推進リーダー・支援機関向けの実践型プログラム。令和8年度も開講され、公開講座の案内もあります(沖縄DX人材養成講座)
- 産業人材デジタルリテラシー強化事業:幅広い業種の従業員向けに、苦手意識の克服や生成AI・データ分析などの講座。県の概要は 産業人材デジタルリテラシー強化事業
ここで言いたいのは、沖縄には「子ども向け」と「社会人向け」の両方の入口がある、ということです。課題は、入口の有無より、小学生の興味が中高生の作品制作へ、高校・高専・大学の専門へ、企業の課題解決へ、どこまでつながるか、です。単発の体験で終わると、デジタル庁が言う「質」の話にも届きにくい。
教室の机で起きていること|クロスウェーブの一次記録
沖縄のプログラミング教室として、クロスウェーブでは、マインクラフト(マイクラ)・AI・プログラミングを使った探究型のデジタル学習を、宜野湾・うるま・北谷で続けています。教室が目指す姿は、デジタル技術で未来を創る力を育てる教室です。ブランドの顔は「遊ぶ子から、創る子へ。」。教育の考え方は 遊ぶ子から、創る子へ。クロスウェーブが目指す教育 にまとめています。
自分で問いを見つけ、デジタル技術で答えをつくる。道具はマイクラやRoblox(ロブロックス)、PLATEAU(プラトー)や地図データ、生成AIでも、入口は同じです。ツール一覧を並べて強みにする教室にはしません。
マイクラカップでは、チームで地域の課題を調べ、未来の街を設計し、動画と発表まで出します。第7回は沖縄地区最優秀賞のあと、全国大会でTBS賞でした(第7回の記録)。数字は結果の一部です。自分が覚えているのは、締切前に壊れたワールドを、「今、何が残ってる?」から立て直した週です。
AIは、答えを出してもらう道具としては教えません。提案を並べて、子どもが選んで、確かめる。子ども向けの線引きは 沖縄で子どもがAIを学ぶなら 、宿題での家庭ルールは 小中高生の約半数が宿題で生成AIを使う時代の、親子のルール(Note) です。
地域の街を題材にするときも、調べて、空間にして、歩く、という順番です。那覇市のPLATEAUをマイクラに入れた記録、宜野湾市の地図データから街を生成した記録、ブラウザで浸水を体感する防災DXの検証。入口は混ぜません。子ども向けの入口は PLATEAUで沖縄の街をマイクラに 、宜野湾の記録は 宜野湾市が丸ごとマイクラに 、防災の体感検証は ハザードマップを歩いて体感する防災DX(Note) です。公式のハザードマップの代用品にはしません。
Robloxでは、遊ぶ側から作る側へ回る子が増えています。Luauでルールを書き、公開して、感想をもらって直す。コースは Roblox(ロブロックス)コース詳細 です。デジタル探究の骨格は AI・マインクラフト・Robloxで沖縄の地域課題を作品に です。
ここで起きているのは、「プログラミングを覚える」だけでは足りない、という実感です。課題を見つける。調べる。仲間と役割を決める。壊れたら直す。人に説明する。デジタル庁の議事概要が大人の言葉で言う「問いを立て、再設計する」が、子どもの机ではこの動きに翻訳されます。
小学生から高専・OIST、企業までどうつなぐか
沖縄の地理は、学習機会の偏りにもつながります。本島の中南部と、北部・離島では、通える教室やコンテストの密度が違います。光回線や遠隔の学びは補助線になりますが、対面で「壊れたものを隣の子と直す」経験は、画面だけでは足りないことも多い。所信表明にある離島のDXや、グローバル教育・IT教育の推進は、その穴を埋める方向の言葉だと読めます。ただし、どう埋めるかは、これから詰まる話です。
自分が現場から見ている階段は、おおむね次です。効果や進路の保証ではありません。
- 小学生:興味と小さな作品。Scratchやマイクラで「動いた理由」を言葉にする
- 中学生:地域の課題を調べ、チームで形にし、発表する(中学生のプログラミング教室)
- 高校生:高度なプログラミングやAI、データ、コンテストや探究の記録を残す
- 高専・大学・OIST:地域課題と専門を接続する
- 企業・自治体:既存のDX・IT人材事業の出口で、業務や地域を動かす
県の「未来のIT人材創造」は小中高の入口に近い。IT-XやDX人材養成は社会人の入口に近い。古謝県政が掲げる高専・琉大・OIST連携は、そのあいだの橋になり得ます。橋の設計図は、まだ所信の段階です。
教育現場からの提言(県の決定ではない)
ここからは、県が採用を決定した政策ではなく、自分の提言です。受注の断定ではありません。
地域課題解決型のAI・IT教育。沖縄のバス停の日陰、避難経路、観光客の動線、離島の物流。子どもが「不満」から始められる題材は、身近にあります。AI、プログラミング、3D都市データ、ゲーム制作は、そのための道具です。単発の体験会で「触った」だけで終わらせず、調べて、作って、確かめて、発表する回数を増やしたい。
小中高から高専・大学・企業へつながる仕組み。学年ごとの事業を否定しません。ただ、年度で切れる体験だけだと、質の記録が残りにくい。作品、直した履歴、発表の一言を、次の学年や次の事業が受け取れる形があると、県の人材育成も教室の探究も生きます。
人数だけでなく、作品と改善の過程を成果にする。受講者数や学習時間は大事です。そのうえで、完成した作品、課題への理解、壊れたあとの直し方、発表の内容も、成果として数えられる設計がほしい。デジタル庁が言う「質」への関心とも、矛盾しないと思っています。
学校・自治体・民間の役割を分けてつなぐ。教育委員会は授業と探究の型。大学・高専は専門と地域課題の接続。IT企業は現場の出口。民間の教室は、放課後の反復とコンテストの伴走。産学官民の窓口が県庁に置かれるなら、役割の線引きと、子ども側の連続性がセットになるとよい、というのが現場の願いです。
相談の入口は、政策の議論とは別に、マインクラフト(マイクラ)のワールド制作代行 や教室の体験に置いています。コースの棚は プログラミングスクール詳細 です。
よくある質問
古謝県政で、学校のプログラミング授業はすぐ変わりますか。
所信表明に「AIなどのIT教育」と人材育成連携の文言は入りました。対象学年や時数、予算の詳細は、このあいさつだけでは決まっていません。令和9年度以降の制度設計を、公式の発表で確認してください。
沖縄のAI人材育成・IT人材育成は、何から探せばよいですか。
子ども・学生なら、まず県の 沖縄未来のIT人材創造事業 。社会人・企業なら IT-X、DX人材養成、デジタルリテラシー強化など、県と関連団体の既存メニューがあります。民間の放課後の場は、別契約です。混ぜて説明しません。
ChatGPTがあるのに、子どもにプログラミング教室は必要ですか。
必要かどうかは、家庭の時間と、子どもの作りたいもので変わります。全員が通い続ける必要はありません。ただ、AIの出力を確かめる力、問いを立てる力、作品にして説明する力は、言語の暗記だけでは育ちにくい、というのが教室の観察です。
自治体が実証事業を考えるとき、成果指標はどう置けばよいですか。
参加人数に加え、完成作品数、発表回数、直しの記録、継続参加の有無など、「何が残ったか」を先に設計すると、国の「質」の議論とも会話しやすいです。効果の保証はできません。設計の話です。
まとめ:技術で未来をつくるのは、子どもたち自身
古謝県政の所信表明に、「AIなどのIT教育」と、高専・琉球大学・OISTとの人材育成連携が入ったことは、教育現場にとって大きな合図です。同時に、予算・制度・対象学年はこれから詰まる段階です。公約の120政策と、所信、令和9年度の公募を混ぜないことが、誠実さだと思います。
国は、デジタル人材の「量」の次に「質」を議論し始めています。沖縄には、子ども向けと社会人向けのIT人材事業がすでにあります。足りないのは、入口の名前を増やすことだけではない、と自分は感じています。自分で課題を見つけ、調べ、考え、技術を使い、仲間と形にし、失敗したら直す。その経験の連続です。
プログラミングを学ぶことは大切です。でも、それだけでは十分ではありません。AIがコードを手伝っても、最後に問いを立て、選び、確かめるのは人間です。沖縄の子どもたちが、その側に立てる学びを、県の施策と教室の机の両方で積み上げていきたい。
技術を使って未来をつくるのは、子どもたち自身です。自分はその隣で、壊れたワールドと、直したあとの笑顔を、これからも見ていきます。
教室の場所は 教室へのアクセス 、学びの考え方は デジタル探究 、最新情報は 沖縄のマインクラフト・プログラミング教室 クロスウェーブ です。経歴は すずきたかまさプロフィール に置いています。
出典(確認に使った公開情報)
- 知事就任あいさつ・所信表明(PDF)(令和8年10月6日、古謝げんた公式)
- 沖縄を前に進める120の政策(PDF)
- 今後のデジタル人材育成政策に関する検討会(第1回)(デジタル庁)
- 沖縄未来のIT人材創造事業(沖縄県)
今すぐ、LINEから見学・説明・無料体験を予約できます。パソコンを使った体験は、PCの空きがあれば可能です。人数が多い場合は、見学と説明が中心になります。「見学だけでもいいですか?」という問い合わせも大歓迎です。AI・IT人材育成や地域探究の相談も、同じLINEで大丈夫です。まずは一度、教室に来てください。
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